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各種疾患・治療法

心臓CT検査

心臓CT検査の進歩

長い間、冠動脈を可視化して画像的に評価するための唯一の方法は、カテーテル検査による冠動脈造影検査 (CAG)でした。しかし、CAGを行うには手や足の動脈からカテーテルを挿入する必要があり、出血・血管損傷のリスクや、低い確率ながら冠動脈損傷や脳梗塞などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。また、動脈にカテーテルを挿入するため、入院検査となることが一般的です。
心臓が絶えず動いている中で、直径数mmの冠動脈をCTで撮影することは困難な課題でしたが、64列マルチスライスCTが登場したことにより診断能は向上し、CTで冠動脈を観察することが可能になりました。心臓CT検査は、基本的には「造影剤を使用したCT検査」になりますので、入院を必要とせず、外来で検査できることが最大のメリットです。

SIEMENS社: SOMATOM Definition Flash®

CT検査装置

3D-CT画像


心臓CT検査の特徴

心臓CTの診断精度は非常に高く、特に陰性的中率は99%と報告されています1)。これはつまり「心臓CT検査で問題ないと判定されれば、99%間違いない」ことを意味し、心臓CTで冠動脈疾患が否定されれば、侵襲性のあるカテーテル検査を行わずに済みます。また、心臓CTは、冠動脈の狭窄の有無を診断できるだけでなく、冠動脈プラークの性質を評価できることも大きな特徴です2)。心筋梗塞に発展しやすいハイリスクなプラークがみつかった患者さんには、高血圧や脂質異常症、糖尿病など、より厳重なリスク管理を行う必要があり、当院では心臓CT撮影時にプラーク性状の評価とレポーティングをルーチンで行っています。

冠動脈狭窄の評価

冠動脈CT画像

カテーテル検査 (CAG)

冠動脈CTで高度狭窄を疑われ、カテーテル検査を行った症例の画像。その後、カテーテルによる冠動脈ステント治療を行った。


冠動脈プラークの評価

赤矢印の部分に高度狭窄があるが、その他にも黄色点線の部分にハイリスクなプラークを認めた症例。


参考文献
  • 1) J Am Coll Cardiol. 2008:18;52:1724-32.
  • 2) J Am Coll Cardiol. 2007;50:319-26.

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