患者さまへ

各種疾患・治療法

心房細動治療

はじめに

この病気は、心臓病の中でも最もありふれた不整脈で、高齢者、特に60歳から70歳を超えてくると急激に罹患率が増えてきます(全体の0.5%以上)。大きな問題点として適切な治療を行わないと重篤な脳梗塞を発症することがあるとされています。以前はお薬での治療が中心でしたが、最近ではカテーテルアブレーションにより治療が可能な方も大変増えています。当院でも心房細動のアブレーションは1998年から行っており、現在では最新の3次元マッピング装置と国立大学病院初のIVRセンター(カテーテル等による放射線治療センター)設置に伴う最新の血管撮影装置が配備され、充実した医療スタッフのもとで積極的にアブレーション治療を行っております。


心房細動とは

一般には、心房細動が出ると動悸やめまいといった症状が出現しますが、まったく症状のない患者さまもおられます。初期は時々起こるだけの発作性の心房細動が、徐々に発作の頻度が多くなり、また持続時間も長くなり、最終的に慢性心房細動へと移行していきます。この経過が一般には10年程度と言われています。海外や日本で行った大規模なデータから、この心房細動自体は命に関わるものではありませんが、心房が無秩序に高頻度(400~600/分)で興奮する為、血流が淀んで血の塊り(血栓)が出来やすくなります。血栓がちぎれて重篤な脳梗塞を引き起こすため、心臓内(心房内)に血栓が出来ないように抗凝固薬(血液がサラサラになるお薬)を内服しなくてはいけないとされています。

最近の抗不整脈薬そして抗凝固薬の進歩もすばらしく、以前に比べると格段に治療効果が期待できる薬が使えるようになりました。又、心房細動に対するカテーテルアブレーションは現在、世界的に行われるようになり、日本でも多くの施設がアブレーション治療を行い、その成績もとても良好になっています。しかし、アブレーションによる重篤な合併症も非常に少ないものの報告されていますので、治療方針については患者さまと医師で十分に話し合いを行って、慎重に決定されなくてはならないと考えられます。


最後に

当院では基本的に抗不整脈薬が効かないあるいは飲めない患者さま、心不全を起こしている患者さま、そして特に治療を希望される患者さまには、カテーテルアブレーションを基本的にはお勧めしています。アブレーションの成績は以前に比べてかなり良くなってきていますが、やはり治療方針については各々の患者さまにおいて担当医師と十分にご相談の上で決定されるべきであろうと考えます。当院では主に金曜日にアブレーション治療に関するご相談を受け付けております。お気軽にいつでもお尋ねいただければと思います。


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