岡山大学循環器内科 岡山大学循環器内科
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中川晃志先生の「ASDを介したクライオアブレーション中の中隔裂傷に関する症例報告」がCardiovasc Interv Therに掲載されました。

2025.07.16

論文名:Iatrogenic laceration of the atrial septum during catheter ablation for atrial fibrillation in a patient with multiple atrial septal defects

雑誌:Cardiovasc Interv Ther. 2025 Jun 24. doi: 10.1007/s12928-025-01163-0

概要:心房中隔欠損症(ASD)および発作性心房細動を有する60代女性。3D経食道心エコー(3D TEE)により3つのASDが確認された。心房細動に対してクライオバルーンアブレーション(CBA)を施行し洞調律は回復したが、軽度の労作時呼吸困難が持続した。5か月後のASD閉鎖時には右室径やQp/Qsの増加とともに、ASD形態に著明な変化が観察された。とくに中央のASDは後方へ拡大し、最大径は10mmから31mmへと増大していた。この変化は、CBA時のシースおよびカテーテル操作による心房中隔の機械的裂傷が原因であると推定された。最終的には、中央のASDにFigulla Flex IIデバイスを留置することで、3つすべてのASDを同時に閉鎖することができた。本症例は、ASDを介したCBA中に発生した医原性中隔裂傷の稀な例である。ASDを有する患者では、欠損孔を経由した左房アクセスが可能となるが、カテーテル操作による中隔損傷のリスクについても十分に留意すべきである。3D TEEは診断および治療戦略の決定において極めて有用であった。

外部リンク:https://link.springer.com/article/10.1007/s12928-025-01163-0