岡山大学循環器内科 岡山大学循環器内科
肺高血圧症メインイメージ

肺高血圧症はどんな病気?

「日本新薬株式会社 肺高血圧症治療サポート」より承諾を得て掲載


・肺高血圧症とは、様々な原因により肺動脈の血圧(肺動脈圧)が高くなり、右心不全をきたす疾患です。
・なかでも①血管収縮、②血管内壁の肥厚、③血栓形成により肺動脈の狭窄や閉塞をきたす肺動脈性肺高血圧症は、20年前まで有効な治療法がなく予後が悪い病気でした。
・しかし近年多くの肺高血圧症治療薬が使用できるようになり、予後は改善傾向です。

症状

・初期には労作時息切れ、倦怠感、疲れやすいなどの症状がみられます。進行すると喀血、失神、むくみなどの症状がみられるようになります。
・膠原病、肝疾患、肺疾患で治療中の方、過去に先天性心疾患や肺塞栓症にかかったことがある方で、上記症状がみられれば肺高血圧症の可能性があります。

検査

胸部レントゲン、心電図、血液検査で肺高血圧症の可能性があれば、心臓超音波検査を行います。
・心臓超音波検査で肺高血圧症が強く疑われたら、診断確定のために心臓カテーテル検査を行います。
・診断確定したら、その原因を調べるためにCT、肺換気血流シンチ、肺機能検査、腹部超音波検査などを行います。

肺動脈性肺高血圧症の治療法は?


・肺血管を拡張させる薬剤が、肺動脈性肺高血圧症の治療薬として使用されます。
・エンドセリン受容体拮抗剤、PDE5阻害剤、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤、プロスタサイクリン製剤があり、これらの薬剤を重症度に応じて単剤もしくは併用して治療します。
・経口薬、吸入薬、持続皮下注薬、持続静注薬と様々な投与方法があります。
・診断後、早期に治療開始することが肺高血圧症や長期予後の改善につながります。

岡山大学循環器内科の肺高血圧症診療の特色

肺移植

1998年に岡山大学呼吸器外科で日本初の肺移植が行われました。2022年8月までに214例の肺移植が行われ、そのうち42例が肺高血圧症の患者さんです。肺高血圧症治療薬でも改善しない重症肺高血圧症に対し、呼吸器外科と連携して肺移植も含めた集学的治療を行っています。

先天性心疾患に関連した肺高血圧症

岡山大学心臓血管外科は先天性心疾患の手術で日本トップクラスの件数です。肺高血圧症は先天性心疾患が原因のことも多いですが、肺高血圧症が重症だと手術が困難な場合があります。当科では手術前に肺高血圧症を治療することで、従来不可能であった先天性心疾患の手術が可能となっています。

吸入薬や持続静注/皮下療法の指導体制

吸入薬や持続静注/皮下注療法は、専用の機器を用いるため豊富な肺高血圧症の治療経験が必要です。当院では専任の看護師や薬剤師のもと、機器の扱いからトラブル時の対応まで患者さんに丁寧な指導を行っています。