岡山大学循環器内科 岡山大学循環器内科
狭心症/心筋梗塞メインイメージ

虚血性心疾患

病気の概要

虚血性心疾患は『急性冠症候群』 と『安定狭心症・慢性冠症候群』に分類されます。急性冠症候群は動脈硬化の生じた冠動脈が急に閉塞する、あるいは閉塞しかけることで生じます。当院は三次救急施設として、院外心肺停止症例も多く搬送され、補助循環装置挿入を含めた緊急カテーテル治療も行っています。


安定狭心症・慢性冠症候群には動脈硬化によるもの、冠攣縮によるもの、微小循環障害によるものなどがありますが、心臓CTなどの外来検査をはじめ、入院による侵襲的な冠動脈検査も行っております。

侵襲的な冠動脈検査は冠動脈造影に加え、
・FFRやiFRなど動脈硬化病変の虚血評価
・冠攣縮の負荷試験
・IMRやCFRなどの微小循環障害の評価
などがあります。

動脈硬化による狭心症の治療については次項以下で詳説します。

冠動脈インターベンション(PCI)
~安全で効果的な治療のために~

当院では複雑な冠動脈病変・複雑な背景疾患を持つ症例に対しても積極的にPCIを行っています。特に心臓CTをもとに病変形態やプラークの性状を評価し、安全なPCIのために事前に戦略を練ってPCIに臨んでいます。
また、Myocardial mass at risk (MMAR)を心臓CTから演算することで、治療対象血管の心筋容積や潅流域を算出し、治療の必要性の評価や、治療効果の予測を行っています。
もちろん、FFR-CTや負荷心筋シンチグラフィによる虚血チェックも行っています。


薬の写真

石灰化病変への挑戦

冠動脈硬化で石灰化が進行するとバルーンやステントのみでは治療困難です。
そのため、以下の3つのデバイスがPCI成功に必要となることがあります。
①ローターブレーター
②オービタルアテレクトミーデバイス
③ショックウェーブバルーン

いずれのデバイスも石灰化病変を削って石灰化の量を減らす、あるいは石灰化にヒビを入れてバルーンやステントの拡張を可能にするデバイスです。
心臓CTの事前評価はもちろん、PCI中のIVUSやOCTなどのイメージング評価を行い、安全かつ効果的な治療を行っています。

院内設備

CTO:
慢性完全閉塞病変に対するPCI

CTOとはChronic total occlusionの略で、高度石灰化病変とともにPCIの難易度が高い病変です。
閉塞病変にワイヤーが順行性に通過しないことがあります。その時には、レトログレードアプローチといって、閉塞している血管に対して発達している細い側副血行路にワイヤーを通し、順行性・逆行性の双方向からワイヤーを通過させる方法があります。IVUSガイドといって、血管の内腔から逸れたワイヤーをIVUSで観察しながら内腔に戻すようなテクニックもあります。
安全第一で治療を行っておりますが、治療成功率は90%以上をキープしています。

薬の写真

CHIPインターベンションとは
何ですか?

CHIPという言葉をご存じでしょうか?
C:Complex H:High risk
I:Indicated P:Patients

以上の頭文字でできた略語です。

簡単にいうと、複雑で危険性の高い冠動脈病変、あるいは症例背景がある、その一方で治療が必要な患者様、となります。例えば、心機能が非常に悪く、冠動脈に高度石灰化を伴う狭窄があり、本来なら開心術の適応でも開心術ができない症例です。このような症例にも経験豊富な医師がPCIによる血行再建を積極的に行っています。
 

院内設備