岡山大学循環器内科 岡山大学循環器内科
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循環器内科は、命を救うという明確な使命があり、非常にやりがいのある科になります。一人前の循環器内科医になるまでには、様々なことを学んでいく必要があり、大変だと思うかもしれませんが、学んでいく過程が最も充実して楽しい時間であることに、いずれ気づくと思います。色々なことを学ぶ際に、一人で学び続けることは困難を極めますが、多くの仲間をつくり、一緒に励んでいくことで、継続することが可能となり、岡山大学では、ともに楽しく学んでいける場を作っていきたいと思っています。

また循環器内科はチーム医療が必要であり、若いときにはチームの一員として働き、いずれチームのリーダーになっていきます。その過程で、多くの経験をしながら成長していく必要があります。多くの仲間を作り、色々な話をしながら、非常に稀な経験を共有し、どのような状況にも対処できる医師になって欲しいと思います。楽しく、継続して学ぶことが大事であり、そのような環境を提供していきます。一方、現代医療には限界があり、未だに未知のことが多くあり、治療できない病気が多く残されてます。そのような状況に遭遇し、疑問を持ち、興味を持ったら、研究を行うことで、直接切り開いていってほしいと思ってます。

現在、我々が行っている医療は、先人の研究の積み重ねの上に成り立っており、小さな研究でも未来の医療に貢献することができます。興味のある方には、研究を行うことができる環境も用意してます。

若手Drからみた循環器内科の魅力

若手ドクターに研修を終えての振り返りや今後目指したいキャリアについて語ってもらいました。

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岡田 倫英 先生
(2022年卒業)

初期研修、後期研修で学んでいること

私は岡山大学病院で2年間初期研修をし、その後、地元の福山で後期研修をしております。

初期研修では、たすき掛け研修の制度を利用し、岡山大学病院、岡山市民病院、福山市民病院でそれぞれ循環器内科をローテートしました。岡山大学病院では、先天性心疾患や構造的心疾患、肺高血圧症などを含めた幅広い疾患を経験することができました。また、TAVIやMitraClip®、Harmonyなど最先端の医療に触れられたのは、大学病院ならではのことだと思います。学会発表も経験することができました。

現在は地元の福山で後期研修をしております。救急医療やカテーテル治療が盛んな施設で、日々多くの経験をさせていただいております。カテーテル治療にしても薬物治療にしても、治療の効果がすぐに現れるのが循環器の魅力だと思っていますが、心筋梗塞で治療を受けた方が独歩で退院するということもよく経験されます。自分の治療で患者様が生命の危機を脱し、元気になって帰られるというのは、循環器内科医としてとてもやりがいを感じるところです。

循環器内科の醍醐味・将来性

循環器内科は、救急外来、集中治療室、一般病棟、退院後の外来診療まで全て自分で診ることができます。急性期から慢性期までのどの時間軸でも、自分が主治医として患者様と関われるのも、循環器内科の魅力の一つではないでしょうか。PCIなどの急性期治療がメインとして捉えられがちですが、循環器内科医の活躍できる場所は、幅広い疾患領域・時間軸に渡るので、働き方にも様々な形があるというのが私の印象です。

学生や研修医に向けたメッセージ

学生や研修医の皆様に、少しでも循環器に興味を持っていただけたら幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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福田 能丈 先生
(2017年卒業)

初期研修、後期研修(専攻医)を終えての振り返り

私は大学を卒業後神奈川県の横浜医療センターで初期研修を行い、医師3年目から岡山大学循環器内科に入局しました。医師3年目からは岡山医療センターで後期研修を行い、8年目で帰局しました。初期研修を岡山県外で行ったため、3年目に岡山医療センターに異動する際には知り合いがおらず若干の不安がありましたが、皆さんとても親切ですぐに馴染むことができました。岡山医療センターでは虚血、不整脈、心不全、エコー、肺高血圧など幅広い疾患を学ぶことができ、後期研修という医師としての礎を築く期間にそのような環境で学ばせたいただけたことは大変ありがたかったです。また、岡山医療センターでは特に肺高血圧領域において世界有数の実績があり、そのような先生方の考え方や診療への姿勢を間近で見ることができるのも魅力の一つでした。

今後目指しているキャリア

これまでのキャリアで各循環器領域の基本的な概念や治療法を学んできましたが、学べば学ぶほど各領域の奥深さに驚かされます。しかし、それと同時に治療の限界や医学的に未解明な部分があるということも感じてきました。医師8年目と決して長いキャリアではありませんが、それでも医学的に為す術がなく患者さんを救命できなかった経験が何度かあります。
日々の診療で目の前の患者さんの治療に最善を尽くすことは勿論ですが、医学の発展に貢献できるような研究活動にも取り組んでいきたいと考えています。

循環器内科の醍醐味・将来性

私は元々、初期研修医病院での循環器内科の先生方が重症患者さんを次々と救命する姿に憧れ、循環器内科医になることを決めました。実際に循環器内科医として働くようになると、重症患者さんの救命はとてもやりがいのある仕事だと改めて実感しました。患者さんや家族からもとても感謝されます。しかし、その一方でそれ以外にも循環器内科としてのフィールド、選択肢の多さが見えてきました。
循環器内科診療は、カテーテル検査・治療のみならず、エコーなどの画像検査、不整脈、心不全管理、先天性心疾患、さらには基礎研究など多岐にわたっており、どの領域もとてもニーズがあります。そのため、どの領域に進んだとしても社会的に必要とされる人材になることができます。また、循環器内科に進んだ後にもその時の生活状況や向き不向きに合わせて多くの選択肢から自分にあった専門性を決めることができるというのは魅力的だと思います。

学生や研修医に向けたメッセージ

学生さんや初期研修医の先生からよく「循環器疾患は怖い、難しい」ということを言われます。確かに容易ではないことはありますが、それ以上に魅力のある診療科だと思います。循環器内科を研修されている間に少しでもそれを伝えられるようにしていこうと考えています。一人でも多くの方が循環器内科に興味を持って下さると嬉しいです。
また、私と同じように岡山大学の関連病院以外からの入局を考えている方も大歓迎です。

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黒田 和宏 先生
(2016年卒業)

初期研修、後期研修(専攻医)を終えての振り返り

大学卒後は岡山市立市民病院(初期臨床研修および内科専門医プログラム)での5年間の勤務と併行して岡山大学医歯薬総合研究科の大学院博士課程を修了し、その後3年間の岡山赤十字病院(循環器内科専門医取得)で勤務し帰局しています。いずれも岡山市内の関連病院で研修医の先生も多く、岡山大学の研修プログラムから市中病院研修で赴任されている先生がたも大勢いらっしゃりました。他科、救急科、近隣医療機関との連携も密で実力を発揮しやすい環境だと思います。指導した研修医の先生も今やそれぞれの分野で力を発揮されており、改めて人を育てる環境だったなと実感しています。

今後目指しているキャリア

自分は大学院課程を修了しても、専門医を取得しても循環器疾患の奥深さと関わる人達の熱意、世界・本邦の循環器科医の努力に魅了され続けています。肺高血圧症、心不全、静脈血栓(腫瘍循環器領域)の臨床研究も臨床業務の傍らで携わってきましたが、大学では新たに心不全領域の基礎研究を行なっています。
本邦の強みとして、専門性のある臨床医が基礎研究に携われる環境があり、こちらも近年新たな解析手法や実験手技の発展と相まって目覚ましく知見が得られており今後の発展が楽しみでなりません。現在標準的な治療法のない患者様の治療法開発に携わることができればと考えています。

循環器内科の醍醐味・将来性

書店で循環器内科の医学書コーナーをみればわかる通り、この分野は細分化され日々進歩しています。それだけ社会的に重要とみなされ 循環器対策基本法という法律も定められ多くの人々の健康と良い社会に関わっているということです。循環器病に関わる人達の育成や良い研究を行うため、本邦含め国が主体となって対策に取り組んでいるのです。

細分化され細やかに見直しがされた診断・治療方法は、一本一本違う木をみるようで一見とっつきづらく感じるかもしれません。しかし集まって森となれば常に自分のなかでの物差しができ、正しい判断・治療が根拠を持って行うことができるのです。
不老不死にはなれないのですが、 患者さん一人一人が良い人生を歩める手助けが根拠を持って行える。応急処置含め大小さまざまな介入があるのですぐ対応でき、しかも比較的すぐに良くなる。

これが循環器内科の醍醐味でしょうか。

もう一つ、 大事な点があります。
ひとつの治療ガイドラインを改訂するための根拠を集めるのには莫大な労力と時間・費用がかかるのですが、本邦や欧州・米国循環器学会は無料で最新版をホームページ上に公開しています。先の書店の例もそうですが、これだけ発信をする先生がたがいるということは、つまり若い先生たちや初学者の方たちが疑問に思ったらすぐに解決してあげたい。そんな心構えの先生が多いということです。このような業界は将来的にも、簡単に廃れないのです。

学生や研修医に向けたメッセージ

私は新内科専門医制度、新循環器科専門医制度どちらも1期生ですので、当時(今もでしょうか)は貴重な内科・循環器科の後輩に専門医取得に向けたアドバイスのできる立場でした。後輩の先生のお手本になればと思い、僕も成長させてもらえました。是非ともに働きましょう。

医学生・研修医・内科専攻医の皆さまへ

留学体験記

当科は留学を志す若手を
強く応援、サポートします!

主要な海外留学先一覧

アメリカ

Indiana University
分野:不整脈(基礎)

University of Virginia
分野:動脈硬化/解離/瘤(基礎)

University of Kentucky
分野:動脈硬化/解離/瘤(基礎)

University of Wisconsin-Madison
分野:再生医療 (基礎)

Johns Hopkins University
分野:医療統計

MedStar Washington Hospital Center
分野:虚血性心疾患 (臨床)

Harbor-UCLA Medical Center Lundquist Institute
分野:心臓CT (臨床)

Cedars-Sinai Medical Center
分野:SHD (臨床)

アメリカ

Harbor-UCLA Medical Center Lundquist Institute
分野:心臓CT (臨床)

Cedars-Sinai Medical Center
分野:SHD (臨床)

カナダ

Toronto General Hospital
分野:ACHD/不整脈 (臨床)

フランス

Marie Lannelongue Hospital
分野:肺高血圧症 (基礎)

ドイツ

Brandenburg Heart Center
分野:TAVI (臨床)

イタリア

San Raffaele University
分野:虚血性心疾患 (臨床)

先輩ドクターの声

Johns Hopkins Bloomberg School of Public Health、 Department of Epidemiology、 2021-2023
江尻 健太郎

私は2021年から約2年間米国のJohns Hopkins Bloomberg School of Public HealthのDepartment of EpidemiologyにPostdoctoral fellowとして留学しました。留学中は同じく循環器内科のバックグラウンドを持つKunihiro Matsushita 先生に師事し、北米の大規模コホートデータを用いた疫学研究やNIHへのグラント申請に携わりました。また、主に聴講というかたちですが、疫学や医療統計に関する大学院のコースにも参加することができました。留学したことで米国トップクラスの研究機関での研究と教育を直に経験することができて、自分自身のレベルアップにつながりました。今後は留学で得たスキルを活かし、特にビッグデータを用いた臨床研究をおこなっていきたいと考えています。

中央が江尻医師

(写真:中央が江尻医師)

私は医師になった当初留学希望はなかったのですが、大学で研究をおこなっていく中で漠然と海外に留学し研究を行うことを意識するようになりました。また、尊敬する先輩や同世代の仲間たちが海外留学し研鑽を積む姿に刺激を受け、大学院卒業後に留学を志しました。
昨今の海外情勢や日本を取り巻く環境の変化によって、以前よりも海外留学のハードルが高くなっているように感じます。しかし、留学し現地で生活をしないと分からないこと、得られないことは今でもたくさんあります。留学は研究だけではなく一生の財産になります。学生や若手の先生方で少しでも興味をお持ちであれば、是非とも挑戦してみてください!

University of Wisconsin School of Medicine and Public Health、 2017-2020
斎藤 幸弘

2007年に岡山大学を卒業し、2017年から2020年までアメリカ合衆国ウィスコンシン州マディソンにありますUniversity of Wisconsin School of Medicine and Public HealthのTimothy J. Kamp先生の研究室に留学しておりました。海外の有名な人の下で研究してみようかなと思い、日本循環器学会で発表したセッションの座長であったKamp先生に声をかけると承諾いただき、留学に至りました。留学中にiPS細胞から心筋細胞を誘導する方法を習得したことから、帰国後にサブタイプ別の心筋細胞の誘導法の発見につながったことは良かったかなと思っています。また、日本に比べるとかなり時間があるので、ゆったりとした気分で研究でき、家族との時間を楽しめたのも良かったことかなと思います。若いうちは臨床でもいろいろ病院を移動すると思いますが、研究でも違うところに身を置いてみるというのは大事な経験だなと思いました。

右から二番目が斎藤医師

(写真:右から二番目が斎藤医師)

University of Kentucky Cardiovascular Research Center、 2021-2023
網岡 尚史

私は元々冠動脈インターベンション治療に興味があり、初期研修終了後はなるべく多くの患者の治療に貢献してスキルを向上させることを目指しておりました。しかしながら、多くの症例を見ていく中で、次第に「動脈硬化をより根本から治療できる方法の開発に関わりたい」という気持ちが芽生えました。奇しくも以前は絵空事であった遺伝子治療が現実味を帯び始めたこともあり、基礎研究は私の目に非常に魅力的な選択肢として映りました。そこで大学院に入ったことをきっかけに大動脈疾患・動脈硬化の基礎研究に進路をシフトしました。周りの先生方には「どうして今になって急に進路を変えたの?」「基礎研究はつぶしが効かないから辞めておいた方が良いよ」「論文がなかなか書けないし結果も出ないんじゃない?」と心配するアドバイスを多く頂きましたが、このチャレンジングな道を選んだことには今でも後悔はないです。多くの医師同様に、基礎研究の知識やバックグラウンドを身に着けていたわけでもなく、無知故に壁にぶつかるばかりの毎日になりましたが(今でもそうです)、この方針転換は臨床一辺倒だった私にはとても斬新で、また医師としての視野の拡大につながりました。

中央青い服が網岡医師

(写真:中央青い服が網岡医師)

大学院の半ば頃には「卒業後も研究を続けたい」「留学して新しい知識を身に着けたい」と漠然と考えるようになりました。院卒業後、幸運にも紹介を受け、米国Kentucky大学のAlan Daugherty先生/Hong Lu先生のラボにてポスドクとして留学し、大動脈疾患の基礎研究を行う機会を得ました。医師ではなく、研究者として過ごしたこの時間は私にとって非常に濃密な経験となりました。留学というと楽しそうですが、なかなか出ない結果への焦り、英語のプレゼンで自分の言いたいことを伝えきれないもどかしさ、研究者としての未熟さからくる自身への失望感、などもあり、非常に味わい深い留学になりました。幸い、素晴らしい上司やラボメイトの支え、前任者たちの残した揺るぎないデータの蓄積もあり、なんとか無事研究を論文化し、帰国することができました。全て含めて私の人生の本当に良い思い出です。

留学をしたから良い研究者になれるとは限りません。私自身がまだまだです。そして留学せずとも立派な業績を上げた研究者は日本にたくさんいます。ですが人は同じ場所やポジションに留まると成長が滞り、弛緩してしまうものです。環境を大きく変えて、大いに刺激を受けることを学生や若い医師には強く勧めたいと思います。
当科には留学経験者が多く在籍しています。もし研究や留学を検討している方が居られたら是非、御相談頂ければと思います。皆様の人生の転機になりますと幸いです。

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